第四回「落語の中の仏教」
今回の古典落語は「山号寺号」です。
お寺には山号というものがつきもの。
それをネタにつくられた古典落語。
今回の演者は 柳亭市馬 師匠。
落語家初の人間国宝・柳家小さんの弟子。
いま落語協会副会長の地位にある実力者です。
師匠によれば
落語の世界では
「一に落ち、二には弁舌、三に仕方」というそうです。
その「落ち」にも様々な種類があるとか。
地口落ち、いわゆる言葉遊びの落ち。
古典落語では「錦の袈裟」が代表。
今朝は帰さぬ いや袈裟は返して~ という奴です。
山号寺号は 拍子落ち という部類だそうです。
調子よく話が進んで終わるカテゴリー。
さて、ネタバレですが 山号寺号のさげはこうなっております…。
さんざん金をまきあげられた若旦那。
「一目散 随徳寺」
太鼓持ちが
「南無三 仕損じ」。
(そこまでの流れは実際に見ていただいて……)
随徳寺という言い回しや、南無三宝のなど、
モロに仏教テイスト炸裂ですね~。
今回はこの落語から
「山号」を通じて 仏教 を味わってみました。
まずは 自坊の慈光寺。
ご参詣の皆さんにお尋ねを?
慈光寺の山号は何?
「こうしょうざん」…
お見事。そうです。廣照山慈光寺が正解。
さすが篤信者?ぞろいの慈光寺門徒。
では本願寺の山号は?何 ~ (-_-)
数人からご返事が…。リュウコク山でしょうか?
お見事!!!!
では リュウコクっていう名前の由来はご存じ??
さすがにこれには無返答のみなさん。
実は 親鸞様が荼毘にふされた場所である東山の「おおたに」。
漢字で表記すると こうなります。
この字を分解して「龍谷」とし、それを本願寺の山号に用いたとか。
さて、山号について。
もともと中国に仏教が伝わってから 山号という概念が生まれたそうです。
その中でも特に有名なのは 五台山。
その五台山から
日本 天台座主第三世 円仁 が
後善導とまでいわれた
高徳の「法照禅師」の「五会念仏」を日本に伝えたのは有名な話。
法照禅師は親鸞さまも大切におもっておられたお方の一人です。
常例法座後半は、
本願寺に伝わる「五会念仏作法」の中から
「念仏」を 声明という形で
お聞きいただいくことにしました。
(但し、慈光寺住職の声明力は限りなく微弱…)
千年以上前に 山号の原点となった「五台山」から伝わった「五会念仏」。
慈覚大師円仁 師のご苦労なければ
本日の「山号寺号」の落語も聞けなかったのです~。
しばし悠久の時間の流れの中で 落語を見直すことのできた今回の仏縁となりました。
ここでクリア